2025/02/14 16:35

WRIGHTsomewhereブランドは、リンカーン・グラフィックス・ファミリー(TLGF)代表の河原光氏が不定期に活動しているブランドで、Gussetで取り扱わせて頂いています。

河原光氏は1997年にTLGFを設立すると、ゆず、Dragon Ash、嵐、KAT-TUN、木村カエラ、ONE OK ROCK、Mr.Children、ローリングストーンズやジョン・レノン等など、多数の企画デザインを発表し続けている素晴らしいデザイナーです。ファッションとしても、「NARCOTIC」、「RAW FUGEE」、「FUTURE ZOMBIE」等を展開しつつ、現在では「WRIGHT」として活動している。
私個人の目線で話してしまうと、河原光氏というデザイナーさんは、本当に憧れでした。
「デザイナー」というポジションは企画・運営側がデザインをお願いするところで、グラフィックデザイナーの名前が世に出て有名になるということは相当なことであることは間違いありません。ましてはSNS等が無い時代だったわけですから。
河原さんのデザインを見る度に、その世界観に浸ったものです。(笑)
話しは戻しまして、「WRIGHTsomewhere x FREAK」。
私たちが機械式の時計ブランドを立ち上げた理由のひとつに、文字盤へのプリントが可能となった点が挙げられます。
長年、アパレル業界に携わっておりますが、ファッションブランドが出す腕時計の殆どが電池式時計をベースに、ブランドロゴのみを入れたものがほとんどでした。高級アパレルブランドから出る時計であってもです。それには製作工程や利益率、販売価格等、多くのしがらみがあるのだと思います。

FREAKでは日本製の機械式ムーブメントを使用し、ひとつひとつ職人の手により時計を組み上げています。
そしてその文字盤には、独自のデザインを入れることを可能としました。*小ロットでは難しいんです。
となると、アパレル業界出身で機械式時計好きの我々としては、思うことが出てきます。
「機械式時計とファッション」の融合ですね。
餅は餅屋とも言いますが、アパレルと機械式時計店にはちょっと溝があるように思います。
なんとなく、洋服は自分に似合う(カルチャーも含めて)カッコイイのが欲しい。時計は伝統もしくはブランド物が欲しい。
というような構図が成り立っているような気がします。
もちろんそれは間違いではないのですが、自分としては機械式腕時計でファッションやカウンターカルチャーの要素を含んでいて、ブーツくらいの価格帯で本物志向なやつが欲しいんですよね。
毎日の洋服でもその日の気分で着替えますし、カッコいい音楽を聴いたり映画を観たりすると、影響されてそういった洋服を着たくなったりするので、そうすると時計もその洋服によって変わってくると思うわけで、わたくし的には何百万も出してられない。というか、そもそも無理(笑)
時計をブランドで選ぶのではなくて、着こなしの気分にしっくりくるデザインと機能の時計が、自分にとって最高なのでは?
そのような思想から「FREAK」が始まりました。
そして同時に、長く愛せるデザインとは何か。
ファッションやアート。音楽や映画・文化等を含めたカウンターカルチャー。40mm程度の腕時計という小さなキャンバスの中で有名時計ブランドとはまた違った、ファッションからのアプローチが始まったとも言えます。
前置きが非常に長くなってしまいましたが、FREAKの企画をスタートした時から河原さんにデザインを依頼することは考えていました。
音楽やカウンターカルチャーへの深い知識と敬愛をお持ちで、それらを咀嚼しつつ、河原さんらしさのある時計のデザインを制作してくれることに期待が高まっていました。

河原さんに企画の趣旨を伝え、時計のデザインをお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。*ありがとうございます!
そして、河原さん自身もヴィンテージ時計がとてもお好きで、話しが盛り上がりました。FREAKの使用しているムーブメントやケースのクオリティ等も褒めていただき、とても嬉しかったです。
引き受けて下さった後、様々なデザインを考えていただきました。
そのどれもが河原さんらしさタップリで、とても素敵でした。

最終的に河原さんに出来ましたと、提案していただいたものは、文字が逆を向いたデザインの文字盤でした。
1960年代のミラーダイヤルと呼ばれるヴィンテージウォッチからインスパイアを受けながら、オリジナルで製作したマットな文字盤に時計として実用的な部分を考慮しつつも、オーセンティックでいて河原さんらしさのあるデザインに仕上がっていると思います。

また、河原さんの想いも良いんですよね。せっかくなので、その時のデザインの説明文を掲載させていただきますね。
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色々とアイデアが出てきた中で、
自分が「本当に欲しい」と思えるデザインに絞りました。
エクスプローラー1のオーセンティックなデザインからあえて逃げずに、
とはいえ、そのまま模倣するのでもなく、、、
自分の得意とする「フェイク」でありながら「ニセモノ」ではないオリジナリティーを追求しました。
数年前、ナイキのエア・ジョーダンで「スウォッシュ」が反転して縫い付けられたまま出荷され、
その後、破格のプレミアム価格で取引されて話題になって、
結果的にトラヴィス・スコット名義でナイキが正式にリリースしたあの「事件」を思い出したのも理由のひとつです。
今回の企画を知らない人には「え?これ、ミス・プリント?」と思われるようなギミックで着ける楽しみを、見せる楽しみを。
これを機に時計初心者にも感じて欲しいと思っています。
そして鏡文字であることで、ある意味「ミラーダイヤル」(笑)とも呼べる、時計好きには通じるギミック。
自分も一人の時計好きとして「着けたくなるモノ」を目指しました。
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もう、自分的には最高です!
「FREAKでやりたいことはこういうことっ!」とさえ思えるコンセプトとデザインでした。
河原さんのオフィシャルインスタグラムでも想いを語って頂いていますので、是非読んでいただけると嬉しいですね。
文字盤以外にも、ケースや木箱のデザイン、合わせて発表するT-シャツのデザインなど、細かなところまで対応して頂きまして出来上がった、WRIGHTsomewhere x FREAKのコラボレーションモデル「blackbird」は、とても思い入れのある一本に仕上がりました。


是非、手に取ってみて欲しいですね。宜しくお願いいたします。
