2025/08/20 13:31


好評をいただいておりました、WRIGHTsomewhere 河原氏とのコラボレーションウォッチ "BLACK BIRD"。 今回はそのBLACK BIRD のニューバージョン、"BLACKBIRD REVISITED" をご紹介をさせていただきます。

初期モデルの"BLACK BIRD"は もちろん素敵ですし、僕も個人的に愛用しているのですが、今回"BLACKBIRD REVISITED"(追憶のBLACKBIRD)というニューバージョンを発表するに至ったことには、様々な想いや技術、試行錯誤がありました。


("BLACK BIRD" 初期モデル)


初期モデルでは、河原さんによるデザインが施された文字盤を基本軸に、昨今の時計業界でいう高品質な素材、316L ステンレススチールを使ったケース。ドーム型のガラス風防。シングルクラスプを採用したリベットブレスレットというセットアップでした。

もちろん、こちらも非常に良い仕上がりの時計です。



("BLACKBIRD REVISITED")

そして今回、新型として発表した "BLACKBIRD REVISITED"。こちらのモデルは、文字盤のデザインは大切にしながら、それを囲むセットアップの変更となります。

まずケースですが、こちらは1960年代の時計をモチーフに、FREAKが扱う国産ムーブメントが収まるギリギリの薄さで製作したクラシカルでありながら現代的なケースになります。また、そこにセットされた薄型の丸みを帯びた風防はプラスチック。

ブレスレットにつきましても、1960年代の巻きブレスを彷彿させてくれるシンプルでいて美しいブレスレットを採用しています。もちろん、シングルクラスプ仕様です。


("BLACKBIRD REVISITED")


なお、巻きブレスや初期型のリベットブレスはビンテージ時計のブレスレットとして大変魅力的なディティールなのですが、サイズ調整が非常に難しかったり、使用するにつれてブレス自体が伸びてしまうことがあるものなので、FREAKでは毎日気にせずつけていただきたいという観点から、その雰囲気は大切にしつつも気にせずつけられる、アップデートしたブレスレットを採用しています。

このようなバージョン違いをリリースした事には、この河原様のデザインへの想いと、時計職人側の技術革新がありました。



("BLACK BIRD" デザイン資料)


まず河原さんのデザインですが、文字盤を見ていただくと数字や文字が逆になっていることに気が付いて頂けると思います。また、文字盤(ダイヤル)本体のカラーがマットブラックになっています。


("BLACK BIRD" 初期モデル)

これを理解するためにはまず、1960年代頃に製作された「鏡のような輝きをもつ黒い文字盤」を総称して呼ぶ、ミラーダイヤルという文字盤があることを知る必要があります。このミラーダイヤルを例えると、黒い塗装面にクリアを厚く塗り磨き上げたような雰囲気で、覗き込むとこちらの顔が影のように映ることからそのように呼ばれています。最近のビンテージ市場では、とても人気がありますね。



そして、河原さんのデザイン。こちらは数字や文字が逆に配置され、文字盤もオリジナルで製作したマットブラックです。

これは、河原様のファンの方であれば伝わる部分だと思うのですが、例えば、「LOVE」を「EVOL」と書いたり、「HATE」を逆に「ETAH」と書いたりすると、また少し違った意味に読み取れたりしますよね。(注意*河原さんのデザインは此処で書く文字より100倍素敵ですので!)

(FREAKのプリントT-シャツをデザインしていただいた時も逆文字です。)


河原さんは、こういった鏡を見た時に読めるような文字デザインを過去にいつくか発表しておりまして、個人的な見解でいうと河原さんのデザインの代表的なメッセージデザインだと思っています。そのメッセージは、いろいろな解釈があってとてもユニークであり意味深に感じられました。当時、デザインとは こういうことなんだとも思いましたね(笑)

そして、ミラーダイヤルとは相対する光沢を無くしたマットダイヤル。
これらが合わさり、"BLACK BIRD"は鏡に映った時に正しく読める数字を持つ、河原光流ミラーダイヤルとしてデザインされています。



河原さんはデザインの中で、毎日付けたくなるデザイン。また、飽きの来ないデザイン。実用的でインダストリアルなデザインを心がけていただいたようにも感じ取れます。

ベーシックでオーセンティックなデザインから逃げずに、実際に使い勝手の良いところはリスペクトしながらも、河原光デザインとしてオリジナリティがあり、ニセモノではなく特別な意味がある。時計の歴史的な知識を用いつつ、河原光デザインが合わさった、秀逸なダイヤルデザインに仕上がっていると思います。ありがとうございます!

出来上がった初期型の"BLACK BIRD"。とても秀逸な時計ができあがりました。



そして、その時計を毎日付けていたあるとき、時計職人と"BLACK BIRD"について話し合う機会がありました。


「以前は出来なかった、こういうことができるようになりました。"BLACK BIRD"に良く似合いそうですが、如何ですか?」と。


その時計ケースはFREAKが採用している国産ムーブメントが収まるギリギリの設計で、すっきりとしたケースでした。また、シャープなラグ。細く美しいベゼルに加え、厚みを押さえたプラスチック風防がセットされていました。また、最初に書いたようにブレスレットもそのケースに合うよう、バランスの取れたものを装着していました。

これは、時計職人と工場の連携により生まれた、現代の機械式ムーブメントが収まるヴィンテージスタイルの温故知新的な時計ケースでした。

早速、"BLACK BIRD"のダイヤルをこのケースに入れ、新しい"BLACK BIRD"としてサンプルを製作し、直ぐに河原さんに見ていただきました。それはもう、とても気に入って頂きました!嬉しかった!!



河原さんはもとより、私たちも時計職人も含めて、"BLACK BIRD"がとても好きであったからこそ、このムーブが起きたと思いますし、今回、"BLACKBIRD  REVISITED"が発表できたことが、とても嬉しく感じています。

前回のBLACK BIRDも最高ですが、今回の"BLACKBIRD REVISITED" モデルも是非、手に取って頂けると幸いです。

とても美しい時計に仕上がっているます。